夏祭りに思うこと

8月も終わりに近づいてきました。

今年は連日の猛暑でまだ涼しさは感じることはできませんが、一日一日秋へと近づいているんですよね。

当社は兼務社(金峯神社以外に奉務する神社)が40社と大変多く(神社本庁の包括下の神社と、そうでない神社があります)、そのうちの15社が8月にお祭りを行っています。ですので8月は暑いだけでなく、忙しい月で連日汗びっしょりで神事を行っています。

お祭りというのはもともと稲作と非常に深い関係にあって 、春の祈年祭と秋の新嘗祭がルーツです。アバウトな説明ですが、田植えと稲刈りに際しお祭りを行う、といったらわかりやすいでしょうか。

ですが様々な事情でその祭礼日も変更を余儀なくされています。お近くの氏神様の祭礼は土日にされているところが多いと思いますが、本来春や秋に行われていたお祭りも季節も関係ない時期に変更されているのが現状です。それで8月のこの時期が当社では忙しい時期になっているんですね。

祭礼日が変更される、ということに対して若干の寂しさは当然持っています。何らかの起源や理由があって始まったものですし、その時期が来ると自然と心が躍るというか生活に密着していたものを変更するのはやはり違和感はあるんですね。

しかし半面昔とは生活様式が変わって、例えば私どもの兼務社では農業を生業としている人は少なくなって、田植えと稲刈りが重要ではなくなったことや、氏子地域の皆が集まれる時期を模索すると土日で、子どもたちを集めようとすると夏休みの8月になったり、つまり将来へ伝承するために大勢の人を集めようとすると今までの祭礼日が適正な日取りでなかったり。そういった状況の中で祭礼日の変更という結論に至ったわけですので、盛大に氏子地域を挙げて一体感を持ってお祭りを行ってほしいと思います。同時に変わってしまった伝統や形式を記録を取るなど将来へ残してほしいとも思います。

古い記録や地域に生きてきた人たちの足跡があるというのは後世の人間にとって嬉しく有り難いものです。現代の人って情報化社会でスピードの速い中を生きていますので、あまりに刹那的というか過去や未来との時間軸の中で自分たちを客観視しないというか、広い視点で伝統行事を見てほしいなぁと最近思いました。(桃)

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