新嘗祭と新穀の奉納

11月23日は国民の休日に定められている「勤労感謝の日」ですが、元々は勤労を感謝する意味の祭日ではなく、新嘗祭の斎行による祝日でした。

 

新嘗祭(にいなめさい)とは五穀の豊穣を神様に感謝するお祭りで、旧暦2月4日(新暦では2月17日)に行われる祈年祭(としごいのまつり きねんさい)という五穀の豊穣を祈る祭りと対になったもので、神道の神事の中でも非常に重要な祭儀です。

 

人が生きていくためには食べ物が必要ですが、長い歴史の中で(もちろん今でも)食料の確保というのは死活問題です。

春に植えた種が実り、秋になって収穫を迎える。とても簡単なことのように思えますが、風水害等自然災害の多い日本では度々飢饉に見舞われ国を揺るがす事件に発展した史実はたくさんあります。五穀の中でも特に米は単なる食料に限らず通貨の代わりであり、石高はそのまま国力を示すものでありましたし、また信仰の対象ですらありました。

現代は飽食の時代などといわれることがあり、確かに日本ほど食料に恵まれている国はないように思えますが、世界の人口の増加状況を踏まえると今後も安定した食料の確保ができる保証はどこにもないわけです。

地産地消などといいますが、自分たちが食べる食べ物を自分が住む地域で育て、文化として育む心が大切な気が致します。

 

今年も新嘗祭を控え秋の新穀を奉納していただき厚く御礼を申し上げます。

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新穀は新嘗祭が終わるまでは食べないのが本来の習わしです。神様が召し上がってから、人が食べるという意味からです。

 

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