井上井月句碑

近年問い合わせが多い、境内の井上井月の句碑について紹介いたします。

井上井月(いのうえせいげつ文政5年<1822年>? – 明治20年<1887年>)は江戸末期から明治初頭の俳人。越後長岡の生まれと伝えるが、生涯の前半は不明な点が多い。30代半ばより信州伊那谷を中心に活動し、放浪と漂泊を主題とした俳句を詠み続けた。その作品は、後世の芥川龍之介や種田山頭火などに大きな影響を与えた。

 

句碑にはこう記されています。

行暮し 越路や榾(ほだ)の 遠明り

越路は北陸道の古名。越の国は福井・石川・富山・新潟の諸県だが、ここは井月の出身地新潟県の何処かであろう。歩いて行く途中で日が暮れる心細さ。囲炉裏にくべた薪がとろとろ燃える。榾の火の遠明りが障子越しに見えて懐かしい。一家団欒の日が蘇る。若いころ越路を迷った際の追想か。心細さと懐かしさのない交ぜの句。

 

晩秋から冬にかけて?の雪国の日が落ちる早さや遠くから見える障子越しの明かり。雪国の景色を情景豊かに捉えていると思います。30年ほど前に井月会によって建てられた句碑ですが、近年井月の生涯をテーマにした映画「ほかいびと」や熱心な井上井月ファンの方々の努力のおかげか句碑の問い合わせをいただくようになりました。句碑を通してこの情景を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。(桃)

 

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